舌下免疫療法の治療の流れ

なぜ舌下免疫療法を行う必要があるのか

ここ数年、4から5歳くらいの低年齢のお子さんでも花粉症の症状が出るケースが増えています。近年、スギやヒノキの花粉が増えるという自然環境の変化や、低年齢のお子さんが食物アレルギーなどを発症するなどアレルギー素因の増加などが原因として考えられます。

大学、高校受験はもちろんのこと、中学校や小学校受験を控えているお子さんもいらっしゃいます。
日本においては受験といえば、2~3月が一番大事なシーズンです。しかしこの時期は花粉症の最盛期です。大事な受験の時に花粉症が最も酷い状態で臨まないといけません。これは大きなハンディキャップになります。
ダニアレルギーのお子さんは、年中喘息症状を起こして大好きなスポーツに打ち込めなかったり、花粉症のお子さんであれば春先は症状が激しくなり、著しく能率が落ちます。
このような面においても、親御さんや本人は出来るならアレルギー性疾患を完治させたいと強く思うことになります。

舌下免疫療法は、注射のように痛みがなく、月1回程度クリニックで経過観察を受けながら、家で毎日1錠ずつ口に含むだけですので、習慣化できればお子さんでも楽に治療が続けられます。
お子さんが小さいうちに舌下免疫療法による治療を開始すれば、早めに完治に近い状態にまで改善することができるので、その後長きにわたってアレルギーに悩まされる心配を減らすことができます。

舌下免疫療法の治療の流れ

① 初回診察

現在お悩みの症状が舌下免疫療法に適応するかどうか診察します。
採血検査によるスギ花粉症またはダニアレルギーの確定診断が必要です。

問診にて症状や頻度を確認し、アレルギー性鼻炎以外の病気が隠れていないか診断します。また、その他に舌下免疫療法を開始できない理由となる疾患がないかも確認させていただきます。

② 舌下免疫療法の開始

検査の結果スギ、ダニのアレルギーが陽性であれば舌下免疫療法適用となります。
舌下免疫療法を開始することが決まれば、お薬の服用を開始します。
初めてのお薬の服用はクリニック内で行っていただきます。(試験投与)
アレルギー反応が出ないかどうか観察し、お薬の服用の仕方などを丁寧にお伝えいたしますのでご安心ください。
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が含まれる治療薬を舌の下に1~2分間置いて体内に取り込みます。
初回投与をしてから30分間はクリニックで待機いただき、副反応が出ないか様子を見させていただきます。

③ 初期量期

問題がなければ、翌日から1週間、毎日ご自宅で舌下錠を使用し、1週間経ったら受診します。
最初の1週間は初期量期であり、1~7日目はアレルゲンの量が少ない薬を服用し、8日目以降は1週目よりもアレルゲンの量を増やして服用します。

④ 維持期

8日目以降は、増量した量を継続します。1~2年は効果を診ていき、効果のある方は3~5年、最低3年間は毎日1回服用を継続します。
舌下免疫療法の効果は、治療期間の長さに関係すると言われており、舌下免疫療法を長く行えば、それだけ長い期間効くということになります。

副作用を最小限にするため、以下のことに注意してください。
・投与後5分間は、うがいや飲食は控える。
・運動や入浴を2時間ほど控える。(薬の服用として推奨されている時間帯は特にないので、お子さんにとって都合の良い時間に服用するといいでしょう。)