⽜乳やミルク、⺟乳などには「乳糖」という物質が含まれています。乳糖はお腹の中でラクターゼという乳糖分解酵素によって「ブドウ糖」と「ガラクトース」に分解され、腸壁から吸収され血液中に移行します.ラクターゼが欠乏すると,乳糖を消化吸収することができなくなります。その結果、高濃度の乳糖が腸管内に貯留し水分を引き寄せ、下痢になります。吸収されない乳糖は小腸を通過して大腸に入り、腸内細菌により発酵し,腹部膨満(ガスっ腹)と酸性便(酸っぱい臭いの便)を起こします。このような病態を「乳糖不耐症」と呼びます。
乳糖不耐症には、先天的なものと、後天的なものがあります。先天的なものは、ラクターゼが⽣まれつき欠けているため、⺟乳やミルクを飲み始めてすぐに酸っぱい臭いの水っぽい便を頻繁にするようになります。一方、後天的なものは、ウイルスや細菌による急性胃腸炎にかかった時に起こることが多いです。腸の機能が低下し、一時的にラクターゼの分泌が悪くなって酸っぱい臭いの便をするもので、これを「2次性乳糖不耐症」と呼びます。
乳糖不耐症の主な症状は、下痢、腹部膨満(ガスっ腹)、酸性便(酸っぱい臭いの便)です。重症な場合には、体重増加不良を起こすこともあります。⺟乳やミルクを飲んでから30〜60分後に下痢を起こるようなら「乳糖不耐症」の可能性が高いと⾔われています。