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2024.11.25赤ちゃんの頭のかたち外来
当院では、「赤ちゃんの頭のかたち外来」といって、赤ちゃんの頭のゆがみに対する診療を行っています。
「向きグセで、頭のかたちが上から見て斜め」
「後頭部が絶壁」に対する診療です。
赤ちゃんの頭のかたち外来とは?
「赤ちゃんの頭のかたち外来」とは、赤ちゃんの頭のゆがみに対して、相談・治療を行う診療のことです。
頭のゆがみの原因には大きく分けて、病的原因と病気ではない外力による変形、の2つがあります。●病的要因:頭蓋骨早期癒合症
(縫合線が早期に癒合する病気)
●外力要因:位置的頭蓋変形症
(病的ではなく、向き癖などが原因)頭蓋骨早期癒合症など病的な場合は専門医に紹介させていただきますが、病的でなく出産時の産道での圧迫や出生後の向き癖などが原因で赤ちゃんの頭の形が気になる場合、当院で相談が可能です。
当院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」では、現在の赤ちゃんの月齢や、頭蓋変形の重症度をふまえ、「理学療法(体位変換・タミータイム)」または「ヘルメット治療」のいずれが適切かを判断し、ご家族の意向を伺いながら、治療を提案いたします。
なお、治療の基本は理学療法であり、ヘルメット療法を無理に勧めることはありません。外来の受診の流れ
首が座ってないと3Dカメラ撮影は難しいですので、3Dカメラ撮影希望の方は首が座ってから(生後3~4か月)の受診をお勧めします。
「初診」の方は、まずはお電話をください。午後のアーリーチェックイン(14:30~15:00)で予約をお取りします。
頭のゆがみの重症度は、3Dカメラで判定します。3Dカメラ撮影代は別途3,000円費用が発生いたします。
「頭の形が気になる」ため、ヘルメット治療をするかどうか悩まれている親御さんで、ヘルメット治療の適応があるかどうかのご相談だけでも受診可能です。
3Dカメラ撮影の結果が重症で、ヘルメット治療の適応になったとしても、患者さん皆さんがヘルメット治療を選択するわけではありません。御希望された方のみヘルメット治療に進みます。当院ではヘルメット治療を無理に勧めることはありません。頭のゆがみ
頭のゆがみには「斜頭症」「短頭症(絶壁頭)」「長頭症」と3つのパターンがあります。これらの原因の多くは、向き癖、子宮内や産道を通るときの圧迫など、病気ではない外力によります。
頭のゆがみは、基本的に脳の成長や精神発達に大きな影響を与えることはないと言われています。しかし、頭のゆがみが重症な場合は、眼の大きさが左右で異なる、顎の曲線など顔面の左右差が生じる、などの整容面の問題や、噛み合わせ、視力、耳の左右差が発生し眼鏡がかけにくくなるなど機能面の問題が発生する可能性もあります。斜頭症
頭頂から見ると、平行四辺形に見え、耳の位置についても左右差が発生する場合があります。寝るときの向き癖のある赤ちゃんに多く見られます。
短頭症(絶壁頭)
あおむけ寝の時間が多い赤ちゃんに見られ、よく「絶壁」と表現されます。頭の前後の長さが通常より短いのが特徴です。長頭症
頭の前後の長さが横幅よりもあり、横向きの姿勢が多い赤ちゃんによく見られます。
NICUで数か月間過ごした赤ちゃんに見られると言われています。治療方法について
あたまの形を改善する方法には、・理学療法(体位変換、タミータイム)
・ヘルメット治療が2つがあります。重度のゆがみは、自然治癒が難しいという研究結果があります。
<体位変換>
向き癖を改善することにより、赤ちゃんの頭にかかる圧力を左右均等にすることが目的です。
具体的な方法ですが、保護者がそばにいるときに、顔の向きだけを矯正するのではなく、背中にタオルを丸めて置いて体ごと向き癖の反対に向かせてあげましょう。また、寝るときの頭と足の方向/抱っこする腕/授乳の際の方向/話しかける方向などがいつも同じ方向になっている場合は、同一方向だけでなく反対方向でもしてみて、左右のバランスがよくなるようにしてみましょう。
※うつ伏せ寝は呼吸ができなくなる可能性があるため、寝かせるときは必ず仰向け寝にします。
<タミータイム>
タミータイムとは、赤ちゃんが起きている時に、保護者が見守る中で赤ちゃんをうつ伏せにして過ごすことです。頭、首、上半身の筋肉の発達を促進し、赤ちゃんの頭の一定箇所に圧力がかかることを防ぎます。
まずは、お母さんの胸、お腹、膝の上に赤ちゃんをうつ伏せにして始めます。慣れてきたら、ブランケットや床の上で、周りにお気に入りのおもちゃや絵本を置いて興味を引き、うつ伏せ運動を行います。
1回1〜2分から始めて、最長1回5〜15分を1日に2〜6回(目標は1日合計30分間以上)行ってください。※窒息を回避するため、必ず保護者がみている環境下で、固いマットや床の上で、行ってください。
<ヘルメット治療>
赤ちゃんに頭蓋形状矯正ヘルメットを装着し、頭の成長を調整する方法です。1998年に米国で初めて医療機器として承認され、日本では2018年に承認された治療法になります。
治療期間は、主に治療開始時の赤ちゃんの月齢によって異なります。(早く開始するほど、短い期間で終了できます)ヘルメット治療の歴史
世界では1980年代から始まり、2000年代に入ってからその有効性が認められるようになりました。
日本では、2018年に厚生労働省に医療機器として承認され、有効性と安全性が認められた治療法です。
ヘルメット治療の効果
・2015年のアメリカの研究で、1,531人の赤ちゃんがヘルメット治療を行い、1,454人(95.0%)に矯正効果があったという報告があります。
・2021年の日本の研究で、斜頭症の重度の赤ちゃんの約7割が2か月間の自然経過では改善しない、という報告があります。一方、ヘルメット治療を行った斜頭症の重度の赤ちゃんは、自然経過よりも2か月後のゆがみ度合いが約3倍改善された、という報告もあります。
・baby bandの効果
Nobuhiko Nagano. Therapeutic Effectiveness of a Novel Cranial Remolding Helmet(baby band2) for Positional Plagiocephaly: A MulticenterClinical Observational Study. J. Clin. Med. 2024, 13, 5952. https://doi.org/10.3390/jcm13195952
ヘルメット治療しなかった場合のデメリット
頭のゆがみが重度の場合、将来的に顔の非対称が残ったり、耳の位置の左右差が残ったりして、見た目の顔・頭の形による劣等感の問題(整容面の問題)や、眼鏡・帽子・ヘルメットなどが上手くつけられない問題(機能面の問題)があります。
ヘルメット治療した場合のメリット
前記の「ヘルメット治療しなかった場合のデメリット」の逆になります。
将来的な見た目の顔・頭の形による劣等感の問題(整容面の問題)や、眼鏡・帽子・ヘルメットなどが上手くつけられない問題(機能面の問題)を予防することができます。
見た目の顔・頭の非対称性が改善されることもあり、見た目に対する自信にもつながります。
当院の「赤ちゃんの頭のかたち外来」の特徴
<相談だけも可能>
通常の乳児健診でもよくある質問ですが、「赤ちゃんの頭の形が気になる」といったご相談のみもお受けしています。
「とりあえず、赤ちゃんの頭を3Dカメラで撮影して、ヘルメット治療の適応があるかどうか調べたい。」だけでも受診可能です。3Dカメラ撮影して実際にヘルメット治療に進む赤ちゃんは、約20~50%というデータがあります。
撮影しても必ずしもヘルメット治療を始める必要もありませんし、当院が無理に勧めることもありません。
(注意点)
赤ちゃんの頭の成長は早いです。3Dカメラ撮影後2週以内にヘルメット治療を開始しない場合は、2週間の短期間でも赤ちゃんの頭のサイズは成長するため、撮影したデータが古くなってしまいそのデータは無効になってしまいます。ヘルメット発注から装着まで約1週間(業者営業日5日+1~2輸送日)は要しますので、その撮影データでヘルメット治療するかどうかは、撮影後約2~3日以内に決められることをお勧めします。治療開始のタイミングにご注意ください。☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
3Dカメラ撮影の結果で、ヘルメット治療の適応になった場合、頭のゆがみはとてもご心配だと思いますが、治療費が高額でもあるため、実際にヘルメット治療をするかどうかは非常に悩まれると思います。
そこで大切になるのは、御両親で相談されることです。確実に言えることは、「治療をしても、しなくても、どちらも正解」ということです。御両親でお子さんのことを考えて選ぶ結果でしたらどちらでも大丈夫です。ヘルメット治療をしなかったとしても良いのです。正解です。ヘルメット治療はしなければいけないものではありません。選択肢の1つに過ぎません。
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<総合病院との連携>
当院は、広島市民病院、県立広島病院などと連携しており、頭蓋骨縫合早期癒合症の疑いのある場合など、小児科や脳神経外科専門医の診療が必要な場合には、迅速に紹介させていただきます。
頭のゆがみは、一般的には寝ているときの向き癖によるものが多いとされていますが、まれに(0.04~0.1%程度)病気で頭がゆがんでいることがあります。その場合には手術が必要となることもあります。ヘルメット治療の流れについて
頭の平らになった部分にヘルメットで空間をつくり、 赤ちゃん自らの頭蓋成長を原動力として、平らな部分に成長を促します。
ヘルメット治療ではまず、3Dカメラで赤ちゃんの頭の形を撮影し、一人ひとりの頭の形に合った、オーダーメイドのヘルメットを制作します。装着後、成長していない部分の成長を促し、早く成長している部分には成長を待機してもらうことで頭の形を改善していく設計です。・装着時間は、1日23時間(お風呂、汗をふき取る等の時間以外は装着。効果は装着時間に比例します。)
・装着期間は、標準的には2~6か月間(平均約4ヶ月間)です。
※ヘルメット治療は、歯科矯正とは異なり、頭に圧力をかけて形を変形させるものではありません。
ヘルメットの特徴
当院ではベビーバンドを導入しています。
ベビーバンドは、赤ちゃんの頭のゆがみの治療に用いられる 日本製の頭蓋形状矯正ヘルメットです。通気性の高い構造と高機能クッションを備え、赤ちゃんの頭をやさしく包みます。外出しやすい、かわいくおしゃれな複数のデザインを用意しています。
※ベビーバンドは2022年に医療機器として承認を取得しています。(医療機器承認番号:30400BZX00090000)ベビーバンドについてはこちらへ。
<オーダーメイド>
3Dスキャナで設計された頭のデータを元に、お一人おひとりの頭の形状にあったオーダーメイドのヘルメットを設計します。<高い通気性>
通気性向上のため大きな通気孔を設けています。赤ちゃんが長時間装着しても快適に過ごせるよう通気性を考え抜いたデザインです。<清潔>
クッションが簡単に着脱でき、洗濯機でネットを使用したうえで洗濯が可能です。また、ヘルメットは水洗いができるため、いつでもヘルメットを清潔に保つことができます。<リスク・副作用>
本品の使用に伴い、以下の不具合・有害事象が発生する場合がございます。
・皮膚炎(発赤、ただれ)
・皮膚の損傷(水疱、剥がれ、出血等)
皮膚症状が出た場合は外来受診をお願いします。
月1回の外来定期受診で皮膚症状も診ていきます。3Dカメラ撮影の対象
首が座っていないと3Dカメラ撮影は難しいですので、3Dカメラ撮影希望の方は首が座ってから(生後3~4か月以降)の受診・撮影をお勧めします。
ヘルメット治療の対象
ヘルメット治療の対象は、首が座った以降(生後3~4か月以降)で、体位変換とタミータイムなどの理学療法でも頭蓋変形が改善せず、3Dカメラ撮影の結果が斜頭症で中等症以上・短頭症で軽症以上で、医師より医療説明を受け、ヘルメット治療を希望された方です。
推奨開始月齢は3~6か月です。
7か月以上のお子様は、治療期間が通常より長くなる傾向にあり、治療目標に達しない場合があります。病院によっては、10か月あるいは1歳を過ぎている赤ちゃんは、ヘルメット治療の対象としない場合もあります。※初回受診時にヘルメット治療を希望される方は、ご両親そろっての受診をお勧めします。
※頭の形についてのご相談のみの予約も受け付けています。ヘルメット治療の流れ(フローチャート)
ヘルメット発注してから、装着するまで約2週間かかります。
ヘルメット治療開始後
ご自宅では専用アプリにて前回までの3Dカメラの撮影結果が供覧できます。
・最初の3~4日間は、3~4時間ごとに皮膚の状態を観察してください。
・当院への定期通院は3~4週間ごとで、ヘルメットサイズの確認や肌トラブルが起きていないか確認します。
・3~4週間ごとに3Dカメラの撮影を行い、重症度判定し、ゆがみが改善していっているかどうかなど評価します。
*頭のかたち外来の初回と治療終了日以外の撮影結果は当日には出ません。初回と治療終了日以外の結果は土日祝日を除いた3営業日以内に保護者様の専用アプリで確認が可能です。データ確認のための再診は必要ありません。
ヘルメット治療料金
33万円(税込み)
※ヘルメット注文後は、頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド」制作費、ヘルメット治療終了までの診察代を含みます。
※「現金」または「クレジットカード」払いとなります。ヘルメット治療を受けられる前に
・治療に同意後もいつでも治療をとりやめることができます
・ただし、ヘルメットはオーダーメイドのため、発注後のキャンセル・返金はできません。
・患者様の状態や治療経過などから医師の判断で治療の中止をする場合があります。
・頭蓋成長や装着頻度等、治療には個人差がありますので、結果的に望まれた頭蓋形状まで矯正効果が及ばない可能性があります。
・治療で発生した健康被害に対して、医療費、医療手当または補償金などの特別な補償はありません。
・まれに、開始後に頭蓋骨早期癒合等の疾患が判明する場合があり、その場合は脳神経外科等の対応可能な病院を紹介させていただきます。
・「ハチの張り」等個性の範囲の部分については矯正対象ではありません。
・ヘルメット治療以外にも積極的な体位変換やタミータイム(うつ伏せの姿勢で運動する時間)等で頭の歪みが改善される可能性もあります。